上場投資信託(ETF)はその投資対象が数多くありますが、実はビットコインを対象としたものはほとんどありません。そのため、唯一存在するカナダのビットコインETFには急速に資金が集まっています。
今回はビットコインETFの現状とこれからの展望について説明します。
2021年4月14日、カナダのビットコイン上場投資信託(ETF)である『パーパス・ビットコインETF(BTCC)』が資産10億ドルを突破したことで話題になりした。その理由はふたつあります。
まずビットコインのETFはカナダにしか存在しないこと、そしてもうひとつはこのビットコインETFが上場されてから2カ月に満たないということです。
実はアメリカでも複数の会社がビットコインETFの上場申請をしましたが、いずれも米証券取引委員会(SEC)において却下されています。もちろん、日本でもビットコインETFは存在しません。
ビットコインETFではアメリカの一歩先をリードするカナダですが、4月15日にはトロント証券取引所でインバース型のETFが上場されました。これはビットコインの『空売り』ができるファンドであり、ビットコイン下落時にも利益を出せるものです。
まずは簡単に、ビットコインETFについて説明します。これはビットコインを投資対象に投資信託会社が運用する金融商品です。そして金融商品取引所に上場されることで、誰でも売買できるものとなります。
ETFの投資対象は株式や債券、不動産など多数ありますが、ビットコインに関しては投資対象としてカナダ以外の国では承認されていません。
その理由として、次のようなものがあります。
ビットコインの流動性が低いというのは意外に感じるかもしれません。実はビットコインの価格が大きく変動するのは、流動性の低さが原因とされています。
そしてその価格変動の大きさは投資家にとって大きなリスクとなり、金融商品取引所で売買するには危険であると判断されているのです。
アメリカではいまだに上場が承認されていないビットコインETFですが、実は4月9日に米国証券取引委員会(SEC)が、ウィズダムツリー・インベストメンツという会社の上場申請の審査を開始したと表明しました。もしこの申請が通れば、シカゴ・オプション取引所(Cboe)が運営するBZX取引所に上場されることになります。
ほかにも現在、ビットコインETFの上場申請をしている会社は複数あります。
ウィズダムツリー・インベストメンツの審査は5月13日頃に最初の判断が決定し、最終判断は12月4日頃になる見込みです。
ビットコインETFが今後普及すれば、これまでビットコイン投資をしていなかった投資家も手軽に参入できるようになります。その運用は投資信託会社が行うので、素人が売買するよりも損失リスクは少なくなるでしょう。
またビットコインETFの資産が増えると、ビットコインそのものの流動性も高まる可能性があります。その結果、価格変動のボラティリティも軽減され、大きな損失を被る可能性も少なくなることが期待できます。
ビットコインETFの普及にはまだまだ時間がかかると考えられます。しかし将来ビットコインETFが増えれば、誰でも手軽にビットコイン投資ができるようになるでしょう。
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