5月19日、ビットコイン(BTC)は10%以上も下落し金融市場を騒がせました。ほかの仮想通貨も大幅下落しましたが、この原因とされているのは中国が仮想通貨に対する規制を表明したことです。
仮想通貨を規制する動きは、ほかの国でも見られます。なぜ仮想通貨は規制されようとしているのかを詳しく解説します。
中国が仮想通貨を規制するのには、以下のような理由があります。
これは仮想通貨の取締強化を発表した中国の金融業界団体の共同声明によるものです。
5月19日に中国での仮想通貨規制を表明したのは中国互聯網金融協会、中国銀行業協会、中国支付清算協会という3つの非営利活動団体です。その具体的な規制内容は次のようなものとなっています。
また中国国務院・金融安定発展委員会が5月21日に発表した金融政策の方針のなかで、「ビットコインのマイニングと取引行為を取り締まる」ことが挙げられていました。マイニングの規制は消費電力が大きいことが理由です。これを受けて21日のビットコイン市場は再び大幅下落、一時は10%近く下げました。
中国政府は2060年までにカーボンニュートラル(排出する二酸化炭素と吸収される二酸化炭素の量を同じにすること)にするという目標を掲げています。この目標達成のためには大量の電力消費を抑えなければならないことも、仮想通貨の規制につながっていると言えます。
ちなみに英ケンブリッジ大学の発表によると、ビットコインのマイニングで消費される総エネルギー量は世界の電力生産量の0.6%を占めるそうです。
テスラのCEOイーロン・マスク氏は電気自動車の購入にビットコインを使えるようにすると発表していましたが、これを撤回しています。やはりマイニングが環境に影響を与えることを危惧しての判断です。
しかし中国ではマイニングが規制対象になったことを受けて、マイニング業者は中国から海外にその事業拠点を移す動きが出ています。一方で北米の一部のマイニング業者は、エネルギーの調達先を100%再生可能エネルギーに移行することで対応しようとしています。
中国以外の国では仮想通貨に対して、どのような規制の動きがあるのかをご紹介します。
5月6日に米証券取引委員会(SEC)が、暗号資産取引所に対する規制も含めた「投資家保護の強化」が必要であることを表明しました。暗号資産取引所に対して規制する当局が存在しないことを危惧してのことと考えられます。
またワシントンポストによると、バイデン政権が仮想通貨規制の「穴」を埋めるような、あらたな規制が提案される可能性があるようです。
欧州証券市場監督機構(ESMA)が3月17日に発表したレポートにおいて、一部の暗号資産がリスクが高く、投機的である旨を警告しました。
EUは2020年9月24日、暗号資産規制の法案(EU法案) を公表しています。これは消費者と投資家の保護や金融市場の安定などを目的に、暗号市場の管理体制を強化するという内容です。
デジタル通貨の開発が進むスウェーデンでは、中央銀行総裁が「暗号資産の人気は世界中の規制当局などの関心を集めている」と言及しています。さらに5月31日、ブルームバーグに対してマネーロンダリングに悪用される懸念もあり、より厳しい規制導入の可能性もあると述べました。
仮想通貨がこのように規制される理由は主に2つあります。その価格の乱高下による経済への影響と、マネーロンダリングのような犯罪の増加です。さらにマイニングによる環境への負荷も重視されていますが、確かにこれらは大きなリスクと考えられます。
世界で仮想通貨に対する規制が行われることで、逆に安全な決済手段として定着するようになるかもしれません。
2020-2021© Kasotuka Navi all rights reserved