ビットコインが2020年11月に1ビットコイン200万円を突破、12月1日には207万5千円の高値をつけました。投機対象としてビットコインをはじめ、仮想通貨が注目されています。
ところでなぜ、仮想通貨がこのように値上がりするのかご存知ですか。
このような値上がりがいつまで続くのか、そして今からでも参入してよいのかを考える上で、仮想通貨が値上がりをする理由を考えてみましょう。
「仮想通貨」と呼び名がありますが、その性質は米ドルや円といった通貨とはまったく異なります。まずはその理由を知っておきましょう。
通貨は「通貨ペア」同士の力関係や発行量によって価格変動します。力関係とは、発行する国の信用力や金利の高さなどがあります。
一般的に金利が高い国の通貨は金利が低い国の通貨よりも買われる傾向があります。これまでは低金利政策が続いた日本の円が売られ、金利が高いアメリカの米ドルが買われていたということです。
2020年は米ドルが円に対して下落を続けています。これは、米連邦準備理事会(FRB)が3月に利下げを実施したことも下落の要因のひとつと考えられます。
あるいは発行量が増えると貨幣価値が下がり、インフレになります。
では仮想通貨の場合はどうかというと、まず力関係というものはありません。これは仮想通貨を発行する機関がそもそもないからです。信用力という面に関しては、セキュリティなど技術的なことになるでしょう。
発行量に関しては、たとえばビットコインは総発行量が決まっています。そのため新規発行量が多いためにインフレになる、というようなこともありません。
価格変動の要因として、需給関係があります。買いたいと思う人と売りたいと思う人のバランスで、価格は動くということです。
しかしこのバランスも背景となる要因が必ずあります。それは対象とするもの、そのものの価値の変動が影響します。
では仮想通貨の価値とは何でしょうか。決済手段としての価値はありますが、まだそれほど一般的なものとなってはいません。仮想通貨の流通はほとんど、投資対象としてのものと考えてよいでしょう。
ではその価値を判断する材料が乏しいにもかかわらず、仮想通貨が投資対象としての流通が多いのはなぜでしょう。
その答えとして考えられるのは、「現物資産」に近い性質を持っていることだと考えられます。つまり、「金」と同じような性質を持っているということです。
金は産業用品や装飾品として使われますが、現物資産としての需要も多いものです。これは通貨がインフレとなった時、金の価格もそれに合わせて上昇するため、資産の目減りが少ないからです。
ビットコインなどの仮想通貨も同じような性質を持っていると考えられます。
仮想通貨が現物資産としての性質を持つ理由は、決済手段としての役割があるためです。
たとえば昨日まで1本100円で売っていた缶コーヒーが、今日はインフレにより200円で売られたとします。極端な例ですが、この場合100円という現金を持っていたら缶コーヒーは買えなくなります。
しかし仮想通貨が1単位100円から200円に値上がりすれば、この仮想通貨を1単位保有している人は昨日と同じように缶コーヒーを買えます。仮に金を保有していれば、同じように保有する量が100円から200円に値上がりすることで、その売却代金で缶コーヒーを買うことができます。
これが金と同じように仮想通貨が現物資産としての性質を持つ理由です。
FRBの利下げを受けて米ドルは円以外の通貨に対しても下落しています。これは米ドルの価値の下落、つまりインフレと見ることもできます。この米ドル下落に呼応するかのようにビットコインは上昇を続けています。
世界基軸通貨である米ドルの下落が続くあいだは、そのインフレヘッジとしてビットコインをはじめ仮想通貨は上昇を続けるのではないかと考えることもできます。
ビットコインなど仮想通貨は「通貨としての」投資対象ではなく、インフレに備えた安全資産である現物資産としても購入されていると考えることができます。そうであれば、世界基軸通貨の米ドル下落が続くあいだは、ビットコインなどの価格上昇も続くのではないかと考えられます。
2020-2021© Kasotuka Navi all rights reserved